United States

気候と環境

当社の環境的なサステイナビリティへの深いコミットメントは、長期にわたる持続可能な成長という私たちのフォーカスを示す一つの方法です。また、直接的、間接的な排出量の削減目標を設定し、環境への影響を最低限に抑えることを目指しています。一段と持続可能な施設運営を実現し、自社施設から埋立地に送る廃棄物をゼロにし、水の使用を効率化する取り組みも進めています。私たちはこれらの環境目標を掲げることで、地球の健やかさと美しさの向上に努めながら、変化を続ける世界経済の中で成功を収めることができます。私たちはこれからも、迅速な対応と協力体制をもって環境管理に取り組み、この分野におけるイニシアチブをさらに拡大していく予定です。

気候変動対策

2020年の会計年度に、当社は環境に関する優先事項においていくつかの重要なマイルストーンを達成しました。気候変動への対策として、カーボンニュートラルを実現し、ELCの直接的な事業活動で使用する電力では、100%再生可能な電力を調達しました。

また、2020年にScience Based Targetsイニシアチブ(SBTi)によって検証された温室効果ガス(GHG)を削減するため、当社はScience Based Targets(SBT)を設定しました。SBTは企業が採用するGHG排出量削減目標であり、最新の気候科学を用いて策定されます。SBTは、世界の気温上昇を産業革命前の水準に比べ2℃未満に抑えるために必要な削減スコープと一致しなければなりません。SBTiの分類では、当社のSBTは、気温上昇を1.5℃未満に抑える削減経路に沿っています1。これらの新しい目標は、カーボンフットプリントの削減に対する当社の取り組みを反映し、社外基準、企業関係者、および政府パートナーに対する責任を果たすものです。当社の目標は次の通りです。

  • スコープ1および2のGHG排出量の絶対量を、2018年を基準として2030年までに50%削減します。
  • 購入した商品やサービス、輸送・流通、出張などに起因するスコープ3のGHG排出量を、同期間に単位売上高あたり60%削減します。

2022年度には、2030年末までに世界各国の社用車をすべて電気自動車に移行するという新しい目標を発表しました。この目標の設定により、当社はプレステージビューティ業界で初めて、Climate Groupによるイニシアチブ「EV100」に参加する企業となりました。これは、電気自動車への速やかな移行を目指す企業を結びつける取り組みです。

1 当社のスコープ1と2の目標は、パリ協定のうち最も野心的である1.5℃目標に即しています。本レポートの発行時点では、SBTiはスコープ3の目標を分類していません。しかし、当社のバリューチェーンからの排出量について私たちが掲げるスコープ3の目標は、意欲的なバリューチェーンの目標に関するSBTiの基準を満たし、現在のベストプラクティスに合致しています。

戦略

当社の気候関連戦略の主要項目は、エネルギー効率の追求と、自社拠点の内外における再生可能エネルギーの使用です。これらの取り組みにより、エネルギーコストの増加につながる規制関連のリスクを軽減し、運営費を削減することで戦略的アドバンテージをさらに推進することが可能になります。

当社は、GHGの削減に向けポートフォリオ アプローチを採用しています。これには、自社拠点での再生可能エネルギーの使用に加え、風力エネルギー、エネルギー効率化プロジェクト、環境に優しいユーティリティ契約、再生可能エネルギークレジットのための仮想電力購入契約(VPPA)が含まれます。当社は2020年のカーボンニュートラル目標を達成するため、低炭素サステナビリティに関する取り組みへの支援として、年間の専用資金を設立しました。私たちは、事業目標を達成しながら、地球に良い影響を与える可能性のある技術に投資するよう努めています。

気候変動に対する戦略の詳細については、『2023年度 気候変動対策計画』をダウンロードしてご覧ください。

ELCの気候変動対策ポートフォリオ

ELCでは、カーボンニュートラル目標を達成するために、ポートフォリオ アプローチを採用しています。これには、自社拠点での再生可能エネルギー、仮想電力購入契約、質の高いオフセットが含まれます。ELCの気候変動対策ポートフォリオについて詳しくは、下記をご覧ください。

気候変動に関する目標

ニューヨーク州メルビル

ELCは、米国ニューヨーク州メルビルの敷地内に、1.45MWの地上設置型ソーラーアレイを建設しました。6エーカーの敷地には、ポリネーターのために、野生の花々の種が蒔かれました。さらに、このプロジェクトの一環として、20台の電気自動車を充電できる12基の電気自動車充電ユニットも設置されました。

Hillmount Solar

マーカム、オンタリオ州

ELC は、カナダのオンタリオ州マーカムにある最先端の充填・組み立て製造工場の屋上に、ソーラーアレイを設置しました。この屋上アレイは、敷地内に組み込まれた多数のサステナビリティ機能の 1 つであり、当工場は、敷地内で発電した太陽光電力を活用するカナダで最初のELC製造工場です。本設備の導入により、2021年会計年度の全世界における当社の総太陽光発電容量は5.7 MWとなりました。

気候変動に関する目標

ピータースフィールド(英国)

ELCは、英国ピータースフィールドにある製造施設ホイットマン ラボラトリーに、1MWの太陽光発電システムを設置しました。このシステムは、この工場が消費する年間電力の12~14%、日照時間が長い夏期には最大で約95%を提供できる設計になっています。

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オクラホマ州ビーバー郡

ELCはプレステージビューティ業界で初めて、米国オクラホマ州のポンデローサ風力発電所でVPPAを実施する企業となりました。ELCはこのVPPAのもとで、同発電所が生産する22MWのエネルギーを購入する予定です。これは、この発電所で現在までに取引された再生可能エネルギーとして最大の量となります。

気候変動に関する目標

ガルゲネン(スイス)

ELCは、スイスのガルゲネンに建設された新しい物流センターのメイン施設の屋上に、太陽光発電アレイを設置しました。この1.52MWのシステムは、1600MWh以上の太陽光発電が予測されています。

気候変動に関する目標

ミネソタ州ブレイン

アヴェダは、自社キャンパスに3.6エーカーの太陽電池アレイを設置しました。これにより、同社製造施設の年間需要の50%をまかなえると予測されています。この太陽電池アレイは野生動物に優しい設計で、その周囲には数エーカーの新しい景観が作られています。また、パネルの下にはポリネーター(花粉媒介者)が生息できる自然環境が整えられています。

気候変動に関する目標

マサチューセッツ州ホルヨーク、ウェストスプリングフィールド、ウェストフィールド

ELCは米国マサチューセッツ州の3都市森林管理改善プロジェクト(Massachusetts Tri-City Improved Forest Management Project)を支援しています。このプロジェクトは、6,500エーカーの公共森林を大規模な商業木材伐採から保護し、長期的で持続可能な森林管理を実施するものです。

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エネルギー効率

当社は自社施設における環境パフォーマンスを経過観察し、エネルギー指標を集積するプロセスを確立しています。私たちはこのデータを使用して、省エネ活動の有効性を測定しています。このような活動には、全体的なエネルギー使用とCO2排出量を削減するための照明の改良、エアフローおよび温度管理システム、人感センサー、設備のアップグレードが含まれます。

2020年の会計年度には、米国エネルギー省のプラント改善プログラム(Better Plants Program)に参加しました。これは、会社全体のエネルギー効率の改善を目的とした自発的なパートナーシップです。同プログラムは、技術支援、施設内およびオンラインでのトレーニング、またエネルギー監査や診断機器の貸与プログラムなどの省エネリソースを提供します。

ガバナンス

当社の気候関連の取り組みは、経営チームのメンバーである幹部社員による気候変動対策運営委員会によって管理されています。2021年に設立されたこの気候変動対策運営委員会は、当社の排出量削減に向けた戦略を推進するとともに、SBTの達成とネットゼロおよびRE100目標の維持に関連した財務的な意思決定を行っています。当社は、2020年までにCO2排出量を実質ゼロにするという目標を掲げ、2017年にネットゼロ運営委員会を設立しました。この委員会が進化し、現在の気候変動対策運営委員会となりました。

リスク管理

エンタープライズリスクマネジメント(ERM)は、相互に関連するリスクを把握し、能動的にリスク軽減を行う構造化された プロセスです。当社の ERM プロセスは、社内外のパートナーシップを活用して、主要な慣行を特定し、持続可能性や社会的影響に関連するリスクを含む新たなリスクやその他リスクを検証します。

CDP気候変動への対応

当社は10年以上にわたり、CDP気候変動質問書に毎年回答しています。2022年度の気候変動に関する開示で スコアA-を達成しました。私たちの気候変動への取り組みについての詳細は『2023 CDP Climate Change Disclosure』をダウンロードしてください。

持続可能な施設運営

当社は、環境への影響を減らすために、自社オフィスビルや小売店舗を最適化しています。これらの施設の多くはリース物件ですが、当社は物件の所有者および社内チームと密接に連携し、環境に優しい建物で持続可能な事業を推進しています。

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2020年の会計年度に、当社は新規建設と規模改修に関するグリーンビルディング基準を設立しました。この基準は、エネルギー、水、廃棄物、室内空気質を含む影響がおよぶ分野に適用され、当社施設での持続可能な実践の基盤となるものです。また、当社は持続可能性を念頭に置いた行動と選択にフォーカスし、既存のスペースや小売店舗におけるサステイナブルなベストプラクティスを実行しています。当社の戦略には、ポートフォリオ全体の主要拠点で、LEEDおよびWELL認証を獲得することも含まれます。

廃棄物

当社は2020年に、全世界の製造拠点、流通拠点、イノベーション拠点の100%で、産業廃棄物の埋め立てゼロを達成しました。2020年の会計年度において、私たちは世界各国の自社施設との連携にフォーカスし、持続可能な廃棄物ソリューションを特定するとともに、埋め立て処理となる産業廃棄物をゼロにするための対策と文書化を実施しました。当社は今後も現在のコミットメント継続し、新しい施設にも適用していきます。

Person in factory wearing a white coat, hair net, and glasses

2003年の会計年度以来、当社は米国、カナダ、英国、ベルギー、スイスの製造および流通拠点で埋め立て廃棄物ゼロを目指して取り組んでいます。廃棄物を再利用またはリサイクルできない場合、認可された発電所またはセメントキルンでの処理によりエネルギーに変換されます。

当社の施設では、廃棄物の最小化(削減、再利用、リサイクル)を推進し、ベストプラクティスを共有する機会を得ようと努めています。また、廃棄物の流れを最適化して、サプライチェーンおよび小売店舗でリサイクルや廃棄物削減の新しい機会を見出すために、北米の廃棄物管理サービス会社とも連携しています。世界各国での廃棄物管理の実践を継続的に改善するために、このアプローチを活用していく予定です。

当社は、製品の材料として、また製造機器の清掃および冷却に水を使用しています。さらに、当社の研究開発および品質チームによる試験と分析の実施、また新製品の開発にも水が不可欠です。当社の新しいグリーンビルディング基準では、節水装置の設置など、水に関してすべての新施設が満たさなければならない要件を定めています。さらに、LEED認証の取得を目指す施設では、屋内および屋外で使用する水量の削減が求められます。

Water spray

私たちは可能な限り、節水に向けた取り組みを実施しています。水不足地域における施設では細心の注意を払い、水の供給と使用を責任を持って管理するための追加対策を講じています。

また、水の効率性を高めるために、組織全体の既存のシステム改善も視野に入れています。例えば、2020年の会計年度には、ミネソタ州ブレインの水軟化システムをアップグレードしました。これにより、年間60万ガロン以上の水使用量の削減が期待できます。

CDP水セキュリティ質問書

気候変動および水の安全性に関わるソリューションとリスクは切り離すことができず、相互に影響を与えることを、私たちは認識しています。ELCは、毎年実施されるCDP水セキュリティ質問書に回答し、2022年の対応でA評価を獲得したことを誇りに思います。ウォーター・スチュワードシップ実践の改善に向けた当社の取り組みについて、詳しくは『2023年度 CDP水セキュリティ情報開示』をダウンロードしてご覧ください。

パートナーシップと評価

CDP

CDP気候対策A評価

エスティ ローダー カンパニーズ(ELC)は、国際的な環境非営利団体であるCDPから最高評価である「A」を毎年獲得しており、水セキュリティ対策において企業が示すべき透明性と遂行のリーダーとして認められています。気候対策に関する情報開示を行なった2万1,000社のうち、「A」評価を受けているのはELCを含めた少数の企業のみです。

ELC 3BL

3BL Mediaが選出する2023年度ベスト コーポレート シチズン100社

ELCは3BL Mediaの「ベスト コーポレート シチズン100社」に4年連続でランクインしています。総合では5位、「家庭用・パーソナル製品」部門では首位に選出されています。ベスト コーポレート シチズン100社は、環境、社会、ガバナンス(ESG)の3項目に基づき米国の最大手上場企業1000社を評価する年間ランキングです。

CDP ELC

CDPの2022年サプライヤー エンゲージメント リーダーボード

CDPの2022年サプライヤー エンゲージメント リーダーボードで、ELCはサプライチェーンにおける気候変動リスクの測定と削減への取り組みが評価され、1位に選出されました。広範なバリューチェーンにおけるELCの環境負荷への取り組みがCDPにより評価され、気候変動対策で成果を残したサプライヤー上位8%に選出されました。

EPA

EPAグリーン パワー パートナーシップ

米国環境保護局(EPA)は、グリーン パワー パートナーシップを通じてグリーン電力を使用する米国の企業と機関を評価しています。2023年度のランキングでは、実績トップ30社の小売業者において、ELCは15位にランクインしました。

CDP

CDPサプライチェーン

2021年、当社はCDPサプライチェーンのメンバーとなり、CDPとのコラボレーションを一段と深め、サプライチェーンへの影響を測定できるようにしました。「気候変動対策計画の最前線に立ち、スコープ3の排出量に関し意欲的なSBT目標を掲げるCDPサプライチェーンプログラムは、当社のサプライチェーン全体における排出量削減に向けた統合ソリューションの実施を支援し、サプライチェーンパートナーおよび外部製造業者(TPM)との共同的価値の構築を推進するものです」 - グレゴリー F. ポルサー、エスティ ローダー カンパニーズ グローバルサプライチェーン担当エグゼクティブバイスプレジデント

LoCT ELC

気候変動におけるサプライヤー リーダーシップ

2022年度、ELCは、サプライヤー リーダーシップ オン クライメート トランジション(Supplier LoCT)に参加した最初のビューティー企業となりました。これは、ネットゼロ温室効果ガス排出量に向けたサプライチェーン全体の行動を加速するために立ち上げられたブランド コンソーシアムです。このコンソーシアムは、温室効果ガスフットプリントの開発、SBTの設定、温室効果ガス削減対策の採用、進捗状況の開示を行うサプライヤーをサポートするオンライン気候トレーニング プログラムを提供しています。ELCはこのプログラムに40社を超えるサプライヤーを招待し、他のサプライヤーも他の企業との関係を通じて参加しています。Supplier LoCTには現在、合計で400社を超えるサプライヤーが参加しています。

Science Based Targets

Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)

2020年、当社は直営事業とバリューチェーンを対象とし、科学的根拠に基づく排出量目標を発表しました。当社の新しい環境目標は、将来の世代のニーズを見据えた長期的な視点を持って企業管理を行なうという伝統をさらに強化するものです。スコープ1、2、3の排出量に対応したこの目標は、Science Based Targetsイニシアチブ(SBTi)による独立検証を受け、承認されています。

気候変動に取り組むグループ

RE100

2017年、当社はRE100に参加し、世界各国の自社施設で消費する電力を2020年までに100%再生可能エネルギーでまかなうというコミットメントを掲げ、企業としてのクリーンエネルギーへのコミットメントをさらに強化しました。2020年、当社はRE1001への加入時に掲げた目標を実現し、世界各国の直営事業で100%再生可能電力を調達できるようになりました。RE100は、企業の再生可能エネルギー使用に向けた国際的なイニシアチブであり、数百の大規模で意欲的な企業が参加して再生可能電力100%を目指しています。このイニシアチブは、Climate GroupがCDPと連携して率いています。

1ELCは、2017年にRE100キャンペーンに参加しました。詳細はwww.there100.orgをご覧ください。

CDP RE100

RE100 Enterprising Leader Award

ELCは2021年、世界的な100%再生可能電力への移行に取り組む企業の熱意とリーダーシップを評価する「RE100 Enterprising Leader Award」で表彰されました。

Climate Week NYC ELC

Climate Week

私たちは、2023年の「Climate Week NYC」をプラチナスポンサーとして支援したことを誇りに思います。